2022年3月24日
労働契約
就業規則による不利益変更の原理原則
2022年3月24日
労働契約
従業員が会社を退職する場合、自己都合退職や定年、雇止め、解雇など様々な事由があります。その中のひとつに会社との協議により退職する「合意退職」と呼ばれるものがあります。通常、「合意退職」は会社からの働きかけに対して従業員が承諾して退職という形態をとりますので「退職勧奨」に該当します。
「退職勧奨」の類似用語に「解雇」があります。両者は法律上の定義以外にも様々な相違点があります。混同して使用されることがありますので、両者の違いを整理してみましょう。
「解雇」は、従業員の意思にかかわらず、会社が一方的に従業員との労働契約を解除する方法です。「解雇」を行う際は、少なくとも30日前に予告をするか、予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません(労働基準法第20条)。また、解雇事由は就業規則に記載しておく必要があります。
ただし、労働契約法16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定されていますので、予告をしたり、または解雇予告手当を支払ったとしても、「客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当でない場合」は、「無効」となってしまいます。
「退職勧奨」は、従業員に対して退職を促すための行為でしかありません。そのため従業員は、理由を示さずとも拒否することができます。退職するか否かの選択肢は従業員にあります。退職勧奨自体は何らかの法的効力はありませんので、会社としては、一定の良識ある範囲内であれば、自由に行うことができます。
会社は従業員から解雇理由の証明書を求められたときは交付義務がありますので、書面にて「解雇通知書」を発送しなければなりません(労働基準法第22条第1項)。
一方、「退職勧奨」の場合は会社からの誘導に対して従業員が合意して退職が成立しますので、法律上の義務ではありませんが、双方が退職に関する取り決め事項に合意し署名捺印する合意書を交わします。
退職金の扱いについては、退職金規程に委ねられています。「解雇」は自己都合扱いまたは会社都合扱いとして、退職金規程の計算式に基づき支給します。解雇でも従業員の責めに帰すべき事由が大きい懲戒解雇の場合は、不支給または大幅に減額して支給します。
「退職勧奨」の場合は、自己都合扱いよりも有利な会社都合扱いにするか、または合意を得られやすくするために会社都合扱いに一定額を上乗せして支給するというケースもあります。
「解雇」の場合は解雇日現在で年次有給休暇が残っていても、退職金と同様に会社からの一方的な労働契約の解除により未消化のまま消滅してしまいます。
「退職勧奨」は本人との合意により退職が成立しまうので、会社は合意を得られやすくするために残存有給休暇を買い取るという場合もあります。
会社を退職するという意味では一緒です。ただし、雇用保険の資格喪失手続で離職証明書が必要な場合は、離職理由を具体的に記載します。
退職勧奨と解雇とでは記入欄が異なります。
雇用関係の多くの助成金では、「退職勧奨」と「解雇」の双方とも受給要件を満たさなくなりますので、原則として向こう6ヵ月間は助成金が不支給となります。
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